初恋
ジリリリリ...


気付けば、もう朝。
結局、一睡もできなかった。

この前の勉強会以上に、あたしは気負い立ってしまった。


「やば...顔むくんでる」


鏡を覗きこむと、目の下にうっすらとクマを浮かべたあたしがいた。





「眠そうだな」


お母さんから借りたファンデーションでクマを隠してみたものの、やっぱり睡眠不足が顔に出てたらしい。


「あ、いえ!すみません...」


「ゲームのしすぎか?」


「いや、まぁ――そんなところです」


先生とのデートに緊張して眠れなかったんです。

悟られないように、あたしは話題をかえた。


「ご飯――すごく美味しいですね!」


「あぁ、実はおれも初めてで。美味いって話をきいてたから」


先生が連れてきてくれたのは、小さいけれどもオシャレなイタリアンのお店。

テーブルマナーなんて何ひとつわからないあたしだけれど、かしこまった雰囲気はなくて、どちらかと言えば庶民的な空気が流れていた。


「気に入っていただけたなら――ようございました」


「はい!ありがとうございます」
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