初恋
一日中、ケータイに念を送っていたのだが――期待とは裏腹に、先生からのメールは来なかった。

あたしは自分の部屋で、がっくりと肩を落とす。


「いつもメールしてたのに――なんでメールくれないのよぉ」


先生のアドレスを見ながら、ひとりつぶやく。


でもまっ、明日があるか。

最近じゃ、メールをしない日のほうが少ないくらいだから――明日になればきっと、先生もメールをよこすはず。



――きみからのメールが無いと...なんだか調子が狂うよ。

――メール待ってたんだけど、なかなか着信音が鳴らないから...ちょっと寂しかったな。


「うふふ」


なあんちゃって。

先生、そんな風に思ってくれてたらいいなぁ。


きっとあたしは、頭の上にピンク色の雲を浮かべていたと思う。

それくらい、あたしは妄想に花を咲かせていた。


「――明日にはきっと来るよね!先生からのメール」



そう浮かれてベッドに入ったのだけれど。


またもやあたしの期待とは裏腹に、先生からのメールは――その後5日間、来なかったのであった。
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