初恋

月曜日の、3限目はパソコンの授業。

タイピングの仕方なんて、習わなくてもわかってる。


「暇そうだね、ぼんやりして」


「え?あぁ...」


横に名簿順で並ぶため、あたしの隣は必然的に雄太くんが座る。

雄太くんは物静かで考え深くて――あたしの異変にすぐ気づく。


「具合でも悪い?」


「ううん!ただぼーっとしてただけ――」


小声で雄太くんにごまかして、あたしはまた物思いにふけってしまった。



一昨日の先生の、あのキスが頭を離れない。



男の子と付き合うのなんて初めてだから――もちろん、あれが初めてのキス。

あの時は呆気にとられて頭が回らなかったけれど。


改めて――チューしちゃったんだなぁ、ってしみじみ思う。


よくマンガとかで、ファーストキスはレモン味、だなんて言うけど――全然、そんなことなかったなぁ。

ただほんのり、煙草のにおいのようなものがしたけれど。

でも、先生が煙草を吸うなんて聞いたことがない。


いつものごとく、授業に全く集中できないあたし。


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