初恋
次のデートは、待ち合わせがなんだか恥ずかしかった。

まともに、先生の顔を見れないような。


「そういえば、昨日のテレビ見た?――」


でもすぐに、先生が何でもない話をしてくれて――あたしの中にも余裕ができて、ようやく笑顔が出た。





昼ご飯も食べて、いつものように車を走らせているとき、ふいに、ダッシュボードの中の煙草が目についた。


「先生、吸うんですか?煙草」


「ん?ああ――友達の忘れ物だよ、それ」


ふうん、とうなずきながら――でもやっぱり気になってしまう。


「先生は、吸うの?」


「どうした。急に」


「いや、この前のあの――」


そこで、あたしは思わずくちごもった。

これ以上は恥ずかしくて話せない!


そんなあたしに気づいて、先生はにやりと笑った。


「どうした。この前の――その、続きは?」


あたしの言いたいことがわかってて、そんなカマをかけてくる。


「なんでもないです!」


隣で先生は、ふふん、と鼻を鳴らした。

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