初恋
『大学の夏休みはいつから?』


『8月のあたまから9月いっぱいだよ。7月末までが試験』


『いいなあ!長い!』


あたしもそのくらい、休みがあればいいのに。

そしたら先生と、少しでもたくさん会える。


『夏休み、花火とか見に行くか?』


そんな先生のメールに、あたしは心踊らせた。


『行きます!絶対行きたい(>∀<)』


毎年恒例の、近くの湖での花火大会が8月の中頃に開催される。

浴衣を着て、好きな人と初めて過ごす夏祭り。


『そういえばおまえ、門限大丈夫か?』


胸をときめかせていたあたしは、そこで夢からさめてしまった。


『(+д+)』


そうでした。

高校生になった今でも、あたしには門限8時という恐ろしい呪いがかけられているのです。


『8時じゃあ、さすがに花火大会はきついよな』


あたしは先生にメールを返すことも忘れ、ベッドにケータイを放りなげた。

そのまま、大きな足音を立てて階段をかけ降りる。


向かった先は――

もちろん。


「お母さん!!お願い――」
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