初恋
やばい、やばい!

これはキタかもしれない!


あたしは溢れる笑いを抑えられそうになかった。

めくった問題用紙は、斜め読みをしたって解けそうな問題ばかり。


『よし!』


という言葉とともに無意識のうちに動いてしまった左手のガッツポーズを、あわてて飲み込んだ。


周りの様子を横目でちらっとうかがうと、少なくとも、隣でアキはうーんとうなっている。

アキだって、なんだかんだ言いながらもテスト勉強は真面目にやってたから――

結構むずかしめなのかしら、今回のテストって。



テスト勉強って、やればやるだけ身になるもんなんだなぁ――



時計の秒針が刻む音で、あたしははっとなった。


早く書いて、こんなもんさっさと終らせなきゃ。







解答欄を全部埋めたところで、あたしは睡魔に襲われた。


寝たらだめだ、見直しとかしないと――


しかし、一夜漬けの代償はかなり大きく、あたしは机に突っ伏してそのまま眠りに落ちてしまった。



まぁ大丈夫やろ、という妙な自信を残して...。
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