初恋
一週間後の、終業式の日。


「えー!!」


夏休み浮かれモードのクラスからの大ブーイングにも負けず、担任の家村先生がテストを返し出した。


「今返しとかないと、次は9月になるだろー。全科目あるから」


今回のテストは難しかったから、みんなして現実から目をそむけている。

解答用紙を受け取った瞬間に爆笑しだす子ばっかり。


そんな中で、


「沢村!」


「はいっ」


あたしは意気揚々と解答用紙を受け取った。

ま、その瞬間に頭の中は真っ白になったんだけど。









「惨敗...」


「え?」


席に戻って。

返ってきた解答用紙に、あたしは愕然とした。

全科目90点どころか、化学しか90点のボーダーラインに達してない。

でもここで化学が90点までいってるってのが愛よねー。我ながら。



「80、88、83、81...」


しかも英語に関しては、75点という始末。


「うわっ!零ってすごいじゃん!」


隣でアキちゃんはそう言ってるけど――

いくら周りと比べたところで、あたしは90点以上じゃなきゃあ意味がない。


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