初恋

打ち上げ花火

夏休み1日目――

課外授業、初日。


「テストが終わると俯抜けになるのね。零は」


授業も終わり、みんなが帰り支度をしている中で、アキちゃんが机に頬杖をついたまんま言った。


「いやぁ、門限拡大のデートがかかってましたからねぇ」


「へぇ――だからあんなに頑張ってたのね。テスト」


「まあ結局、おまけで門限延ばしてもらったんだけどね」







「じゃあ結局、花火大会は行けそうなのか?」


昼過ぎに、テスト期間がいまだ続く先生と、つかの間のデート。

明日は先生もテストが無いらしいから、ようやく2週間ぶりぐらいに会えた。


「はい!お母さんがおまけしてくれました」


「タイムリミットは?」


「11時!」


へぇ、と先生が感心したようにうなずいた。


「よくやったな。それなら――花火もじゅうぶん見れるな」


「はい!」


満面の笑みを浮かべたあたしを見て、先生も優しく微笑んだ。


「おまえには敵わんよ」


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