怖いモノがあるのなら
「だっ…だって」


「いいから…ほら」


すっと伸ばした手は誠の目の前で止まり、反応を待っている。


「ありがとう先生」


伸ばされた手に手を重ねる。


「怖くないよ…」


「だろう?」


「わっ」


おちゃらけた辻井が誠の手を引っ張り、膝の上に乗せる。


「こんなに優しい手は他にはないぞ」


辻井の手が誠の背中をなでる。


「うん」


不意に思い出す成宮の優しい手。


そしてそっと重なる唇。
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