怖いモノがあるのなら
「ーっ…」


すっと上がった手を一瞬目で追い体を堅くして、誠は黙り込んだ。


「どうした?」


おかしな動きに気づき誠に目を向けるが、目は合わなかった。


「?」


目を逸らした誠の色をなくした横顔。


「…あ、な、なんでもない〜」


辻井に向けた不自然な笑顔、うまく笑えていないと分かっていながら「用事思い出しちゃった」と誤魔化して保健室を出ていった。
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