秘密の同居
ソファーに座って雑誌を見ている弘子に向かって俺は言った。
「…おい、お前ニンジン要らねぇよな?」
弘子と目が合った瞬間、俺はハッとして手で口を覆って固まった。
驚いているようなショックを受けているような目で俺を見る弘子がいたからだ。
…ニンジンが嫌いなのは…。
弘子じゃない、
…高橋だ。
「…ねぇ、怜。
あなたさっきからあたしを誰と間違えてるの?
話し方もいつもと違う。」
…………………。
「今世話になっている家の人がニンジン嫌いでテレビが好きなんだ。
つい癖で間違えた。
悪かった…。」