秘密の同居
初めて見る彼の走る姿は、泣きそうになる程輝いていた。
こんな気持ちは初めて……
何をやらせても完璧な人だと思っていたけど、まさかの断トツ一位。
祈る様なポーズのまま夏木君を目で追っていると、少し何かを探す仕草をしたかと思うと、あたしと視線が重なった。
ドキッとした癖に目が離せなくて、胸が高鳴る。
すると、夏木君はそのままあたしの視線を捕らえたまま、少しニヤリと笑って片手をヒラリと上げた。
驚いて固まっていると、手を振り返さないあたしが気に入らなかったのか、バーカ!と口パクをした。