秘密の同居
『…心配かけてごめんなさい…。』
あたしの言葉に、ゆっくり身体を離してあたしの殴られて切れてしまった口元を優しく触った。
「…ひでぇな…。」
その時の夏木君の表情が、あたしよりも傷付いた顔をしているから、さっきまでの恐怖感が、夏木君への愛しさに変わった。
「…とりあえず帰って手当てするか。」
そう言って手を繋いでくれた夏木君に思わずドキッとした。
家に着くと、夏木君がてきぱきと消毒をして絆創膏を貼ってくれた。
ドキドキしてる場合じゃないのに、心は正直で夏木君の顔の近さに素直にドキドキしてしまった。