バトンタッチ
それから何度か
夜を越えて…―――。



「行ってきまーす!」



ありさちゃんは
いつかぼくに見せてくれた
あのワンピースに
真っ赤なランドセルを背負い、
元気にお家を出て行った。




『ぼくもー!
ぼくも連れていって!』



ありさちゃんが
たーくんを置いて行くのは
初めてでした。




『そういえば…』


たーくんは前の晩、
ありさちゃんに言われたことを
思い出していました。



「たーくん、ごめんね。
たーくんは一緒に行けないの。
おりこうさんで
待っていてね?」



そう言って
顔の前で人差し指を立たせ
ママの真似をしてたっけ。




ありさちゃんとの約束。
きちんと守らなくちゃ!
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