秘密の★オトナのお勉強①



「…人に引っかかりやすい所とか」




頭の中で、冬馬の言葉がリピートされる。


あたしは鼻を押さえたまま、冬馬の方を振り返った。




「もしかして、騙したわね?」



「人を疑う前に、鏡見てみなよ」




ニコニコ笑う冬馬に怒りを覚えながらも、あたしはゆっくりと鏡へ向かっていく。


そして、そっと鼻を押さえていた手を退けた…。




「………」



「あゆ?この業界は騙しも多いんだから、気をつけないとダメだよ?」




あたしの予想していた通り、鼻毛なんか出ているはずもなく。


…冬馬に、振り回されただけだった。




「…ふざけんな、この草食系!」



「いや?何気に俺は肉食系なんだけど」




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