秘密の★オトナのお勉強①



そんなくだらない言い合いを始めてからどのくらい経ったのか。


あたしは冬馬に関するネタがなくなり、降参するしかなかった。


あたしがダウンしている隣で優雅にあたしの淹れたお茶を飲んでいる冬馬は、ものすごく満足そうだ。



…昔から口喧嘩だけは、冬馬に勝った事がなかった。


意外に人間観察が趣味の冬馬は、その人の情報をたくさん持っている事が多い。


さっきの言い合いも、あたしが封印していたはずの恥ずかしいネタがいくら出てきた事か。




「あゆ、落ち着いた?」



「もうすぐ落ち着く。それから仕事するから」




そう答えながらも、あたしは背伸びをするとイスから立ち上がる。


そして、くるっと冬馬の方に身体を向けた。




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