秘密の★オトナのお勉強①



「お願いがあるんだけど」



「何…?」




冬馬は呑気にお茶を飲みながら手帳を取り出して、佐田さんのスケジュールを確認していた。




「佐田さんに何かされたって事、言わないで」



「それは蘭に?それとも貞永くんに?」




あたしの言葉が楽屋中に響き渡った瞬間、冬馬が表情を変えてあたしの顔を凝視してきた。


またさっきみたいな気まずい雰囲気が戻らぬよう、あたしは早口で冬馬の質問に答える。




「両方。貞永も佐田さんも、今が大事な時期だから心配かけたくないの」




冬馬の痛い程の視線にも負けなかった。

それ程、あたしの決心は強かったという事。


これは…貞永を巻き込む問題じゃない。

あたしと佐田さん、二人の問題なの。




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