秘密の★オトナのお勉強①
そういえば、冬馬との会話によってすっかり忘れていたけど、あたしはまだ佐田さんに貞永との関係を否定していない。
今日はもうチャンスを逃してしまったけれど、出来るだけ早く佐田さんに伝えないとね。
あたしがそんな事をぶつぶつと呟いていると、後ろから腕を引っ張られた。
そして、ポスッ…と音を立てながら、あたしは誰かの胸らしき場所に背中をぶつける。
「お前、完璧に俺の存在忘れてるだろ」
「…あ、貞永」
あたしの耳に入ってくる貞永の声は…少し低くなっていて。
ヤバイ、そう思った時にはもう遅かった。
「ちょっと来い」
「さ…貞永っ!?」
ギュッと握られた手は、貞永の体温がリアルに伝わってくる。
貞永は関係者に表面上だけの笑顔を浮かべると、無言で歩き始めた。
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