秘密の★オトナのお勉強①
「お帰り、あゆ」
「冬馬…」
あたしがさっきまで使っていたイスに戻ると、そこには先程と変わらない笑顔を浮かべた冬馬がいた。
「佐田さんは?」
さっきまで佐田さんと会っていた事を勘付かれまいと、あたしはワザと行方を聞く。
「それが、撮影終わった瞬間にどっか行っちゃったんだよね。本当に困った人だよ」
「冬馬も大変だね」
…よかった。
冬馬にはあたしに何があったか勘付かれてはいないみたい。
ハア…と息を吐いた瞬間、あたしの身体からゆっくりと力が抜けていくのが感じられた。
ガタン…!と音を立てながら、あたしはパイプイスに倒れ込む。
「ちょ…あゆ?」
驚いた冬馬が、素早くあたしを立たせてくれた。
「ごめん、冬馬…」
「別にこれくらいいいよ。…何かあったの?あゆ」
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