秘密の★オトナのお勉強①



「お帰り、あゆ」



「冬馬…」




あたしがさっきまで使っていたイスに戻ると、そこには先程と変わらない笑顔を浮かべた冬馬がいた。




「佐田さんは?」




さっきまで佐田さんと会っていた事を勘付かれまいと、あたしはワザと行方を聞く。




「それが、撮影終わった瞬間にどっか行っちゃったんだよね。本当に困った人だよ」



「冬馬も大変だね」




…よかった。

冬馬にはあたしに何があったか勘付かれてはいないみたい。


ハア…と息を吐いた瞬間、あたしの身体からゆっくりと力が抜けていくのが感じられた。


ガタン…!と音を立てながら、あたしはパイプイスに倒れ込む。




「ちょ…あゆ?」




驚いた冬馬が、素早くあたしを立たせてくれた。




「ごめん、冬馬…」



「別にこれくらいいいよ。…何かあったの?あゆ」




.
< 176 / 416 >

この作品をシェア

pagetop