秘密の★オトナのお勉強①
あたしって、そんなに分かりやすいのだろうか。
冬馬の言葉により、顔に貼り付けた仮面が取れていくのが分かる。
必死に作っていた、「作り笑顔」の仮面が。
あたしがずっと黙ったままでいると、冬馬の優しくて落ち着いた声が聞こえてきた。
「俺さ…この業界に入ったのって、蘭の事を助ける為だけじゃなかったんだよね」
「…え?」
初めて聞くもうひとつの理由に、あたしは息を飲んだ。
「どうして…?」
「マネージャー姿のあゆと再会したかったから」
「冬馬…」
「無謀だと思った。だけど俺はずっと信じてやまなかったよ。いつか再会して、あゆに気持ちを伝えるんだって…」
少し照れくさそうな冬馬の表情に、あたしはなんだか居た堪れない気持ちになった。
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