秘密の★オトナのお勉強①



あたしはそんな貞永の一言に、ポカーンと立ち尽くす。




「当たり前じゃない。貞永頭おかしくなったんじゃないの?」



「だったら何で猛は触れられるんだ?」




…確かに。


さっきあたしは、猛の肩を掴んだばかりで。

そりゃもう、逞しいくらいにガッチリしていた訳で。



―――あ…れ…?




「という事は…もしかして猛は…生きてるっ…!?」



「もしかしなくても生きてるよ、姉ちゃん」




すっかり笑いも治まり、また呆れ返る猛を見て、あたしは絶句した。


あたしはどうやら重症のカンチガイ野郎みたいだ。




「姉ちゃんってバカなのかアホなのか天然なのかよく分かんねぇ…」



「俺も思った」




すぐ隣でそう呟く貞永と猛を無視して、あたしはお母さんに凄い剣幕で近寄った。




.
< 214 / 416 >

この作品をシェア

pagetop