秘密の★オトナのお勉強①



お母さんも、さっき繰り広げられていた茶番劇を見ていたらしく、ニコニコしながら料理を並べていた。




「ちょ…どういう事?」



「そんなに慌てて、どうしたの?」



「だから、猛の事よ!お母さんが泣きながら猛の名前ばっかり呼んでたから、あたしてっきり勘違いしちゃったじゃん!」




人のせいにはしたくないけど、元はと言えばお母さんが電話して泣き出したのが原因。

しかも、猛の名前ばっかり連呼して。


そりゃ、猛が死にそうな状態って考えてもおかしくはないでしょ?




「猛はいつものチョイ悪ヤンキーだし、お母さんが泣いた意味も分からないんだけど…」




そう戸惑いがちに言うと、お母さんの顔は一気に明るくなった。


…意味が分からない。




「そうそう!あゆには理由話さずに電話切っちゃったもんね!」




そして、ウキウキした様子のまま、お母さんは貞永の方を見た。




.
< 215 / 416 >

この作品をシェア

pagetop