秘密の★オトナのお勉強①

02★__変化の向こう側




その音が耳を駆け抜けた瞬間、あたしと貞永の言い合いは止まった。


…ちょっとマズイ会話聞かれたんじゃない?

少し気まずくなりながら、あたしはそっとドアの方に視線を移す。




「こんにちは」




そう爽やかな笑みを零しながらドアの前に立っていた人物に、あたしは目を最大限に開いた。



―――雪村隼人。


スラッと伸びた背にキリッとした印象を受ける目元は、若い女性を虜にしてやまない。


そして、そのルックスを持ちながら、業界では「演技派俳優」としても知られ、一目置かれる若手俳優として注目されている。



ただ、ひとつだけ彼には弱点があった。

それは…やたらとスキャンダルが多いという事。


お昼のワイドショーを騒がす人物として、すっかり世間にも認知済み。


ま、彼女もいるみたいだし、スキャンダルをむやみに信じる必要はないんだろうけどね。



あたしはそんな意外過ぎる人物を目の当たりにして、瞬きさえする事も忘れていた。




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