秘密の★オトナのお勉強①
冬馬があたしの震えを止まらせてくれたのは、打ち合わせが終わった頃だった。
他のキャストはもう帰ってしまったらしく、この部屋にいるのは、あたしと貞永と冬馬だけ。
佐田さんは、おそらくお手洗いにでも行っているのだろう。
「ありがとう冬馬…」
「いや、別にいいんだけど…。どうかしたの?」
「どうかしたの?」というフレーズを聞いた瞬間、あたしは勢いよく周りを見回す。
だけど、不審な人物はやっぱり居なくて。
「いや…ちょっと視線を感じて…」
そう苦笑いを浮かべるあたしを、冬馬は眉をひそめて見ていた。
そして、あたしの頭を冬馬の大きな手が包む。
「何かあったら言いなよ?」
「分かっ―――」
苦笑いも取れ、あたしが笑顔で頷こうとした時、あたしの視界に大きな影が映りこんだ。
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