秘密の★オトナのお勉強①

「あゆ、帰るぞ」



「へ…？」




その影は、あたしの腕を掴むなり扉に向かって歩き出す。


あたしは呆気に取られながらもどこかニンマリしている冬馬を見ながら、控え室を後にした。




「ちょっと！この後のスケジュールはないんだから、そんなに強く引っ張らなくてもいいでしょ？」




あたしは大きな影…貞永の顔を覗き込む。


そして、あたしの心は形の見えない不安に覆われた。



…貞永が、無表情だった。


怒っているにしろ、呆れているにしろ、苦笑いをしているにしろ。


それには、なんらかの意思があって、なんらかの表情を浮かべているという事。



でも、今の貞永は…

顔に血液が行き渡ってないんじゃ？というくらいに、無表情だった。




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