秘密の★オトナのお勉強①



「じゃあ…」




そう聞こえてきた貞永の声と同時に、あたしの腕は大きな手のひらに収まった。


痛いと思う程に力を入れられたあたしの腕は、悲鳴をあげる。




「いた…ッ!何す―――」



「黙って来い。車は俺が運転する」




そう冷たく告げられた挙句、反対の手に握り締めていた車の鍵が貞永の手によって奪われる。


あたしの車の鍵を入手した貞永は、腕を握る力を弱める事なくあたしの身体を引っ張って、車の助手席に押し込む。


そして貞永自身も運転席へ向かうと、エンジンをかけて無言で車を発車させた。




「さ…貞永!どこ行く気?」



「…黙れ」




それ以上、あたしは貞永に何かを追及する事をやめた。


過ぎていく景色が、あたしの心の中にずっしりと染み付いた。




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