秘密の★オトナのお勉強①
無事撮影が終わり、あたしは貞永を家に連れて帰っていた。
帰りの車の中でも、やっぱり会話は無い。
沈黙対策としてラジオを付けているけど、ただ虚しく聞こえるだけ。
バレないように貞永をチラッと盗み見ると、窓の方を向いている為、どういう表情をしてるのかが分からない。
心の中でひたすらため息を連発していると、あっという間に貞永のマンションへと到着していた。
…あの時の記憶が、蘇ってくる。
心の奥が、ゾクゾクと震えだしていくのを感じながら、あたしは貞永に顔を向ける。
そして、勇気を振り絞って口を開いた。
「…バイバイ、貞永」
いつもの貞永なら、無視してマンションの中に入っていくのに、今日は何かが違った。
「あぁ…」
あたしの挨拶を、返してくれた。
…少しは、貞永との気まずさが無くなっているのかな?
.