秘密の★オトナのお勉強①
あたしが「貞永」から解放されたのは、それから少し経った頃だった。
新鮮な空気が肺に入ってきて、あたしはむせ返す。
「…ゴホッ!」
「たく、あゆはいつまで経ってもどんくせーよな」
あたしは下を向いてむせ返りながら、目を大きく開いた。
まず、あたしの名前を知っている事が問題。
そしてあたしが今日からマネージャーとして働く事を知っていたのが、これまた大問題。
嫌な予感が頭をよぎりながらも、あたしはそっと顔をあげる。
「よぉ。久しぶりだな、あゆ」
「…っ貞永!!」
…閉じ込めていたはずの記憶が、一気に蘇ってくる。
あたしを助けてくれたのは…
「ま、この有名な俺が庇ったんだから、さぞかしみんな驚いてるんだろうな」
売れっ子俳優であると同時に…
「って聞いてんのかよ、あゆ!」
あたしの高校時代の元カレでもある、貞永光輝なのでした。
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