秘密の★オトナのお勉強①



「そっか。隼人もわざわざありがとうね、あたしの看病してくれて」



「別に構わんって。でも、無理は禁物や。撮影が終わるまではゆっくりしいや?」



「分かってるって」




そんな他愛のない会話を交わした後、隼人は撮影の為貞永の楽屋から去っていった。



…なんだか、色々な人に迷惑かけちゃったな。

冬馬にしろ、隼人にしろ、…貞永にしろ。


うーん、と背伸びをすると、右腕に何かが当たる感覚がした。


そっと顔を向けると、そこには水の入ったコップと、市販の薬が無造作に置かれてあった。



薬を手に取って、パッケージを見てみる。

そこには、大きな文字で「頭痛薬」と書かれていた。



…という事は、これを飲んだからあたしの頭痛は良くなったのか。



いや、でも待ってよ?

今まであたしはずっと眠っていた訳であって。



…あたしは、どうやってこれを飲んだんだろう。




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