秘密の★オトナのお勉強①
「しっかりしろよ!」
…少し低くて、だけど思いやりのある声。
あたしの耳にその声が入り込んできた瞬間、目からは無意識に涙が流れていた。
「…さ…貞永…?」
「ごめんな。助けにくるのが遅くなって」
罪悪感が滲み出ているその言葉に対して、あたしはゆっくりと首を横に振る。
…これは夢なのかな?
意識が朦朧として、現実と夢の区別がつかなくなっているんじゃないの…?
貞永は、そんなあたしを楽屋の端に避難させると、呆気に取られている伊藤さんの元へと向かう。
後ろ姿だけでも、貞永が怒り狂っているのが分かって。
あたしは心の中で「無茶しないで」と願わない訳にはいかなかった。
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