秘密の★オトナのお勉強①



隼人は何も話す事なく、貞永と伊藤さんの所へと近付いていく。


そして、胸倉を掴んでいる貞永の手を、そっと退けた。




「…隼人!お前何して―――」



「ごめんな。あゆに光輝…」



「隼人…」




隼人は伊藤さんをチラッと見た後、あたしの方にも近付いてくる。


未だに息を整えているあたしを見て、隼人は哀しそうな表情を浮かべた。




「俺の出番が終わったから、あゆの様子を見に楽屋に来たんや。そしたら、こんな取り返しのつかん状況になってしもうた…」



「隼人…」



「怖い思いさせてごめんな。…伊藤とは、俺がキッチリ話をつけておくから」




そう告げてあたしから離れようとした隼人を、咄嗟に引き止める。


驚いた様子を浮かべる隼人を眺めながら、あたしは口を開いた。




.
< 303 / 416 >

この作品をシェア

pagetop