秘密の★オトナのお勉強①
「伊藤…」
「………」
「お前、あゆがこう言ってくれとるけど、何か言わなアカン事があるんちゃうか?」
ずっと隅の方で固まっていた伊藤さんが、ゆっくりと顔を上げる。
シンクロする視線に戸惑いながらも、あたしは伊藤さんの表情を伺う。
いくら待っても口を開く事のない伊藤さんに呆れたのか、隼人は貞永の方に視線を移した。
「光輝、あゆを俺達の楽屋に連れてってや」
「隼人の楽屋に…?」
「そうや。伊藤動けそうもないし、あゆの傷を癒してや?」
隼人の圧力に負けた貞永は、あたしの側まで来ると、そっと腕を掴んであたしを立たせた。
「…隼人」
「大丈夫やあゆ。俺も伊藤も、それなりの覚悟を持っとるからな」
…待って。その言葉って…
「隼人…っ!」
「行くぞ、あゆ」
泣き叫ぶあたしの手を貞永が無理矢理引っ張り、あたしは自分達の楽屋を後にした。
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