秘密の★オトナのお勉強①



息が出来なくなるような感覚に陥る。



悲しい、苦しい。



だけど、あたしより貞永の方が何倍も苦しい思いをしているはず。


…たくさんの人とお別れをしなくちゃいけないんだから。



グッと溢れそうな気持ちを抑えていると、急に貞永が腕の力を緩める。


そして、俯いた状態のあたしを覗き込んできた。




「…神風さん、きっと分かってたんだな」



「え…?」



「俺がハリウッドに挑戦したい気持ち。でもこのままだったら、俺は日本から離れる事が出来ない。だから…わざと騙すような言い方をして、俺の夢を叶えようとしてくれたんじゃないかって…」




無愛想な神風さんの表情が蘇る。


一見自分の意見を押し付けているだけにも見えたけど…それは違ったんだ。



なかなか前へ進む事の出来ない貞永を、神風さんは後押ししてくれていたんだね。




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