秘密の★オトナのお勉強①
まだまだ仕事が山積みなあたしは、風のように廊下を駆け抜ける。
休んでいる時間なんかない。
貞永が無事に出発するまで、この状態は続きそうだ。
「あゆ!」
そんな事を考えながら走っていると、後ろから誰かに呼び止められた。
それでも足を止める事なく、顔だけを後ろに向ける。
そこには、立ち止まっている冬馬と佐田さんの姿があった。
「どうしたのー!?」
「ちょっと話があるんだけど…って、忙しそうだね」
叫びながら会話を続けるあたしに、佐田さんは立ち止まればいいのに…という表情を浮かべている。
それでも、あたしには立ち止まって会話できる余裕などない。
「ごめんけど冬馬に佐田さん!あたし立ち止まる余裕なんてないから、話があるなら控え室に来てくれない?」
それだけ言い残すと、あたしは口を閉じて顔を前に向けた。
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