秘密の★オトナのお勉強①



きっと猛がお別れしに来てくれた事は、貞永にとって忘れられないサプライズになったと思う。




「じゃ、出発するね!」




あたしの一言により、車は再び発進する。


…今度は、貞永を送り出す為に空港に向かって。




「貞永パスポート持ってきた?」



「当たりめーだ。俺はあゆじゃねぇもん」



「それどういう意味よ!」



「そのまんまの意味だよ」




いつも通り言い合いが始まるあたし達を、猛は楽しそうに見つめる。


そして、ポツンと言葉を残した。




「…姉ちゃんと光輝くんは、やっぱりいきいきしてる方が似合うな」




その一言で、あたし達の言い合いが止まる。



そうだよね。それはあたしも薄々感じていた。

…こんな日だからこそ、あたし達は「いつも通り」で過ごした方がいいんだって。




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