秘密の★オトナのお勉強①



それでも、いつもの貞永節は止まらない。


脳を刺激する言葉の数々に、あたしは本気でホームセンターにお鍋を買いに行こうか…と悩み始めてしまう。




「貞永…?空港に行く前にお鍋買いに行こうか」




ニコッと笑うあたしには、きっと佐田さん並みのドス黒いオーラが漂っている事であろう。


額に血管が浮いているあたしを、貞永は苦笑いで見つめてきた。




「あゆ、イライラしてると老けるぞ」



「アンタがそうさせてるんでしょうが」



「…ごめんな?あゆ」




…ゔっ!!

そんなに上目遣いであたしを見ないでよ…!


あたしが押しに弱い事、貞永は知ってるでしょ?




「許して、あゆ」



「…分かった…わよ…!」




欲望に負けて咄嗟に許してしまったあたしを見て、「勝った」という表情を貞永がしていた事は気が付かなかった。




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