秘密の★オトナのお勉強①



…そうだ。


あたしと貞永の「マネージャー」と「俳優」の関係は、今日で終わるんだ。




「姉ちゃんは今日から、光輝くんとは他人の存在になる」



「…猛」



「そう考えれば、何も迷う事はない。

―――行ってきな、姉ちゃん」




そう笑う猛は、生きてきて一番頼もしく見える。



後押ししてくれる存在って大切。

きっと猛は、いつまでもグズグズしているあたしに喝を入れてくれたんだ。



涙を服の袖で乱暴に拭くと、あたしは猛の目をしっかりと見て、ゆっくりと口を開いた。




「―――行ってきます、猛!」




全力で走り出したあたしを、猛はどこか清々しい表情で眺めていた。




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