秘密の★オトナのお勉強①



思いっきりお腹から振り絞って出した声は、あっという間に貞永の下へと届く。


ゆっくりと振り返った貞永は、全力疾走してくるあたしを見つけて、目を大きく見開いた。




「あゆ…?」




優しく問いかける貞永は、最早あたししか見えていないように感じる。



そんな貞永に、あたしは全力疾走している時と同じスピードで飛び込んでいった。


あまりの衝撃の大きさに、貞永の身体もぐらついていく。


手荷物が貞永の手から離れて、あたしは貞永を巻き添えにして倒れこんだ。




「…ば…バカか!あんなスピードで突進してくるヤツがどこに居るんだよ!?」



「ここに居るわよ!」



「危ねぇだろうが!」



「知らないわよそんなの!」




喧嘩している場合じゃないのに、あたしと貞永の言い合いは止まらない。




「まったく、あゆお前―――」




この状況を回避しようと、あたしは貞永を黙らせる為に


…自分から強引に、貞永の唇を奪った。




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