秘密の★オトナのお勉強①
「ま、その反応じゃ、気持ち伝わったみたいだな」
猛は独り言のようにそう呟くと、座り込むあたしを立たせてくれた。
このフロア一帯に人影はなく、一安心したあたしを猛は空港の外へと連れ出していく。
「さ、見送りも終わった事だし、姉ちゃん家行っていい?」
「え?」
「俺、久しぶりに姉ちゃんの作ったオムライスが食いてーな」
ニッコリ笑う猛は、子供の頃に戻ったような笑顔を浮かべている。
…そうか。猛は猛なりにあたしを落ち着かせようとしてくれているんだね。
「…うん、作ってあげるよオムライス」
そう答えたあたしは、駆け足で空港の外へと向かう。
涙なんか、当の昔に止まっている。
サンサンと太陽が光輝いている事は、建物の中に居ても充分に分かる事だった。
.