秘密の★オトナのお勉強①
「さっきの答えだけどさ…」
車が発進して少し経った後、無言だったあたし達の空間に、貞永のこんな言葉が耳に入ってきた。
あたしの胸はドクン…と跳ねる。
眉をひそめたまま、貞永の言葉の続きを待った。
「…俺は別に、お前の事嫌ってた訳じゃねーよ」
「え…?」
ハンドルに込めた力が少しずつ抜けていく。
「あの頃の俺らはガキだったんだよ。何年もこの世界にいて、最近やっと気付いたんだ」
「貞永…」
「だから、俺は別にお前の事恨んでもねーし、嫌いでもねぇ」
その言葉を聞いた瞬間、何故か安心するあたしがいた。
この気持ちが何だかは分からないけど…身体中の力が抜けていくようだった。
.