知らないヒト
朝。通学電車の中。

昨日、メールで今週の日曜日に大阪で会うことに決まった。急な話。

私は昨日のメールのやりとりをもう一度見てドキドキしていた。

『私はこれからみことって呼んで下さい。
何て呼べば良いですか?本名じゃなくていいですよ』
『じゃあ、耕助で』


「こうすけかぁ……」

「どうしたの?理沙」

友達が顔を覗きこんでいた。

「わっ、いやっ、何でもないっ」

友達はニコッと笑って
「理沙、可愛い」
と言った。

「お世辞はいいです」
と私が口を尖らすと、
ケラケラ笑って
「クラスで一番モテてるくせに~」
と嫌らしく言った。

「はぁ…うちのクラスの男子にモテてもなぁ…」

「贅沢だなぁ、理沙は」

「だってうちのクラスの男子幼稚なんだもん!ドキドキするような刺激的なことがない!」
中1の男子にそんなの求めること自体おかしいけれど。
駅に着いた

「理沙は顔は可愛いんだから黙っとけば誰にでもモテるよ」
と、背中をポンッと叩かれた。
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