僕の街には今日も雨(涙)が降る…。
「…飛夏羽…ごめんね。知ってたのに…何も言えなくて…優都が苛められてた
のも…飛夏羽が無理矢理笑ってたのも…全部…知ってたのに…」

 李麻は飛夏羽の横に来て、泣きそうな顔をしていた。

「…良いよ。李麻達のせいじゃないもん…私が全部悪いの…」
「そんな事…」
「違うよ!」

 李麻が否定しようとしたところで、飛夏羽が口を挟んだ。

 飛夏羽の目からは次々と涙が溢れ出してきていた。

「…皆のせいじゃないよ…私が…私がっ…」

 キーンコーン…と、学校のチャイムが鳴っていた。

 飛夏羽は涙を拭いて立ち上がり、李麻の前に手を差し出した。

「行こう。遅れちゃうよ。」
「…うん…」

 李麻は飛夏羽の手を借り、立ち上がった。

「ごめんね、私のせいで…嫌な思いさせちゃって。」
「ううん。飛夏羽は悪くないよ。悪いのは…あ…」

 李麻は何か言い掛けて急に無言になった。

「…李麻?如何したの?」
「…もしかしたら…ってそれより、飛夏羽その格好!」
「…え?」

 飛夏羽は自分の格好を見て、黙り込んだ。

「…如何したの?飛夏羽がジャージで来るなんて…」

 飛夏羽は重たい表情をしながら、ゆっくりと口を開いた。

「…榊君たちに…制服…ボロボロにされて…」

 飛夏羽の言葉を聞いた李麻は、心の中が怒りでいっぱいになった。

「何でそんな事…」
「良いよ!今度は李麻が遣られちゃう!…私だけで…十分だよ…」

 講義しようと考えている李麻を、飛夏羽は止めた。

 自分だけで十分だった、不幸になるのは…
そう心に言い聞かせ、飛夏羽と李麻は学校へ走っていった。

 飛夏羽と李麻は、息を切らしながら教室に入り、自分の席へと座った。

 何とか遅刻せずに済んだらしい。
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