僕の街には今日も雨(涙)が降る…。
「…じゅ…ん…」
「優都君!?」

 純は優都の傷をハンカチで押さえながら優都の顔を見た。
「大丈夫?」
「…飛夏羽は?」
「え?」

 優都の思わぬ問いに、純は黙り込んでしまった。

 何も言わない純を見て、優都は初めて涙を流した。

「何で飛夏羽居ないの?」

 優都の涙を見て、純はうろたえながらも話した。

「ごめん…それより、誰が?」
「榊君たちが…」
「やっぱり…」

 暫くしてから救急車の音が聞こえてきた。

 救急隊員が担架を持ってきて優都を乗せ、そのまま近くの病院に搬送した。

 飛夏羽は教室の自分の机で顔を伏せ、静かに泣いていた。

「…優都…ごめん…」

 飛夏羽の頭の中に、優都の笑っている顔が浮かんできた。
その笑顔がもう見れなくなると思うと、飛夏羽は余計に辛くなり、また、涙が
溢れ出した。

 優都は病院で治療を受けていた。
幸い命に別状は無く、純の応急処置が合った為、大事には到らなかったとい
う。

「…大丈夫?」

 純はゆっくりと頷いた。

 全員、頭を抱えながら黙り込んでいた。

 しばらくしてから、零が口を開いた。

「何であんな酷い事するんだろうな…あいつ等。誰が一緒に居たって勝手なの
にさ…」

 純も頷いて納得していた。

「いい加減、先生に相談してみたら?」
「そんな事出来ないよ…」
「あぁもう!そんなんだから駄目なんだよ!それじゃあ飛夏羽も守れないで
しょ!?」

 李麻が怒り出したのを見て慌てて純と零が李麻の腕をつかみ、李麻を抑え
た。

「…そうだよね…強くならなきゃ…飛夏羽の事も守れない…」
「飛夏羽の事、好きなんでしょ?」
「好きなんだよなぁ?」
「好きなんだよねぇ。」
「………」

 李麻、零、純の順番に口を揃えて言った。
この三人に悪気は全く無かったのだが、優都は黙り込んでしまった。

「ま、ボス。頑張ってくれよ。」
「ぼっ、ボス?俺が?」

 零の言葉に、優都は裏返った声で返してしまった。
そんな優都を見て、全員が爆笑した。
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