僕の街には今日も雨(涙)が降る…。
 優都は驚いて飛夏羽の目を見た。

 涙で濡れた飛夏羽の顔は、優都を鋭い目で睨んでいた。

「何で我慢ばかりするの…何で泣かないの!?優都はどんなに酷い怪我してても
我慢して…私、こんな優都の事…もう…見ていられないよ…」

 飛夏羽は涙を沢山流しながら言った。

「…ごめんね飛夏羽…俺のせいで…笑う事も…忘れちゃったんだよね…俺が…生
まれて来なければ良かったんだよね…」
「…優都がいなかったら…私は生きていられなかったよ…うっ…ごめん…」

 飛夏羽がその場から立ち去ろうとしたところを、優都がしっかりと手を掴んで
飛夏羽を止めた。

「待って…行かないでよ…俺を…一人にしないでよ…」

 優都は目に涙を浮かべて、飛夏羽に訴えた。

 飛夏羽は優都の涙に動揺したが、直ぐに優しく微笑んで優都の前にしゃがみ、
優都を包み込むようにして抱き締めた。

「…もう…無理しないで…泣いて良いんだよ?」
「…これじゃあ…逆だよ…」

 優都は目に涙を溜めたまま、笑いながら言った。

 飛夏羽は優都の口をそっと塞いで、首を横に振った。

「逆なんかじゃないよ。何も言わなくて良いから…泣きたいだけ泣いて?」
「そんなに優しくしないでよ…」
「何で?」

 飛夏羽は優しく聞き返した。

「涙…止まらなくなっちゃうから…」

 優都らしい答え方に、飛夏羽は噴き出して笑い始めた。

「笑わないでよ…」

 優都は涙を拭いながら飛夏羽を軽く睨んだ。

 それでも気にせず、飛夏羽は笑い続けた。

「笑うなって!」

 優都は根負けしたように、自分も笑い始めた。

「お取り込み中悪いんだけどさ~。」

 二人は驚いてドアを見た。
ドアの隙間からは、李麻達がにやけながらこっちを覗いていた。
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