僕の街には今日も雨(涙)が降る…。
「…でも…やっぱりずるいよぉ…」
「何が?」

 飛夏羽は顔を上げて優都を見つめると、優都を自分から引き離した。

「優都に頼ってばかりで!これじゃあ逆に優都が辛くなっちゃうじゃん!」
「俺なら平気だよ。」

 焦っている飛夏羽を、優しく受け止めるようにして優都は返事をした。

「優都…でも…私、もう誰の不幸も見たくない…我が侭で…迷惑も…掛けたくな
いよ…」
「迷惑なんかじゃない。我が侭なんて思ってないよ。それに良いじゃん。俺達
カップルなんだし。本音で付き合えるのが一番良いカップルなんじゃないの?」
「…うん…そうだよね。…えっ?」

 飛夏羽は頷いてからもう一度顔を上げ、変な声を出して優都を見た。

「ん?」
「…カップル?」
「カップルじゃないの?俺達。」
「…カップルだったの!?」
「はぁ!?」

 飛夏羽は優都の言葉を頭の中で繰り返すと急に顔が熱くなり、急いで立ち上が
ると走っていった。

「ごっ、ごめん!そっ、そうだよね!わっ、私と…ゆ、優都は…か、か、カップ
ル…だよ…ねぇ?」

 呂律の回らない飛夏羽を見て、優都は黙ってしまった。

 飛夏羽は焦って優都のところに戻ってきた。

「…優都…怒ってる?」
「怒ってないけど。」
「…如何したの?優都…」
「何?」

 飛夏羽は優都の様子を伺いながら恐る恐る話し掛けた。

 優都はきょとんとした顔で飛夏羽を横目で見ていた。

「本当に怒ってない?」
「怒ってないって。」
「絶対?本当に?」
「絶対。本当に。」
「嘘…吐かない?」
「吐かないって~。」

 こんな事を何時までも繰り返し、やっと飛夏羽は優都の事を信じられた。

 しかし飛夏羽の事なので、本当に信じているかどうかは不明だった。
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