僕の街には今日も雨(涙)が降る…。
 一方、飛夏羽の所に戻ってきた李麻も、純と同じ質問を飛夏羽に投げかけて
いた。

「だからさ~、昨日何があったの~?って。」
「別に何にもないよ。だけど…夜は…」
「夜は?」

 飛夏羽はしばらく黙ってから、小さく口を開け、自分の言おうとした事を考
えると顔が熱くなった。

「なっ、何でそんな事言わせるのよぉ!」

 飛夏羽は腕を振り回して李麻に抵抗した。
飛夏羽の振り回した腕の先に来たのは零で、見事に飛夏羽からのパンチをお見
舞いされてしまった。

「!?お、緒方君!?」
「結構…効いたよ…」
「ごっ、ごめんなさい!本当にごめんね!?」

 飛夏羽は頭を下げて零に謝った。

 零は飛夏羽に殴られた頬を摩りながら笑って飛夏羽の額を指で突付き、顔を
上げさせた。

 丁度その時、体育館の電気が消され、生徒全員が静まり返った。

「あ、転校生かな?」
「転入生だろ?」
「い、良いの!」

 李麻と零が騒いでいる横で、飛夏羽は静かにステージの上を見ていた。

 そして、ステージ上に上がって来た3年生の男子を見て、飛夏羽は凍り付い
た。

「…嘘?」

 一歩、一歩、後ろに後ずさりながらも飛夏羽は焦りながらステージを見つめ
ていた。

「わぁ~!凄いかっこ良い!何!?凄いんだけど!」

 李麻は3年生の男子を見て、ルックスの良さに気を取られていた。

 零は飛夏羽の異変に気付き、それを李麻に知らせた。

「なぁ、李麻…飛夏羽ちゃん…」
「んっ?…飛夏羽?如何したの?」

 李麻は零に飛夏羽の事を知らされ、飛夏羽に近づこうとした。

「…冗談でしょ?」

 飛夏羽はそう呟くと、一目散に体育館を飛び出していった。

「ちょっと、飛夏羽!?何処行くの!?ねぇってば~!」

 体育館に居る女子が転入生の男子を見て騒いでいたせいで、誰も飛夏羽が外
に出て行った事に気が付かなかった。

 飛夏羽が出て行ったのに気付いていたのは李麻、零、純、優都の4人だ。
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