僕の街には今日も雨(涙)が降る…。
「…行こう、榊君。」
「…思い出したの?」

 飛夏羽はゆっくりと頷いて、翔太と一緒にドアの方へと歩き始めた。

 其処に李麻・零・純の三人が入って来て、李麻は飛夏羽と翔太が一緒に居るの
を見て、驚いて立ち止まった。

 李麻が一番前に居たため、零と純はそのまま李麻に激突した。

「いてっ!急に止まるなよ!」
「あ、飛夏羽ちゃん?」
「え?」

 純と零も飛夏羽と翔太が一緒に居るのを見て、息が止まりかけた。

「…私が…自らこっちに行くって…決めたの…ごめん。」

 飛夏羽はそう言い残し、振り向かずに行こうとした。

「待ってよ。」

 優都が飛夏羽を止め、飛夏羽は立ち止まったが振り向く事は無かった。

「俺が闘ったのは…どうなるんだよ?」
「…ごめん、優都。」

 涙声でそう呟いて、飛夏羽は屋上を飛び出して行った。

 飛夏羽と翔太が屋上から居なくなった後、残った4人は呆然と立ちすくんでい
た。

「…飛夏羽ちゃん…何かあったのかな…」
「…分からないけどさ…」

 純と零が話していると、優都は立ち上がり、急いで屋上を出ようとした。

「…優都、逃げるの?…本当にそれで良いの?」
「良くないよ!逃げる何て事、良くない。だけど、如何しようもないんだよ…俺
には、飛夏羽一人を守る事も…出来ないんだよ…」

 優都はそう言い残して、飛夏羽のように屋上を飛び出して行った。

「…俺達も行こう。飛夏羽ちゃんを…助けなきゃ。」

 純の提案に零と李麻は頷き、3人も屋上を出て行った。

 誰も居なくなった屋上には、鉄の棒が1本、風に吹かれて転がっていた。

 飛夏羽の蘇った記憶の中には、一体何が秘められているのだろう。
そして、今明らかになる翔太との関係。

 曖昧になってしまった優都とは、一体これからどうなってしまうのだろう…

 未来は、誰にも推定出来ない。

 それでも悪い未来があれば、それを変えて行く事が今の人間のするべき事なの
かもしれない。
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