僕の街には今日も雨(涙)が降る…。
 飛夏羽は顔を上げ、目を見開いて翔太の目を見つめた。

「…嘘?」
「…今なら帰れるぜ?」
「馬鹿…戻らない…絶対に…」

 翔太は頷いて飛夏羽を立ち上がらせた。

 飛夏羽は震えながら翔太の腕にしがみついて歩き出した。
全て身を任せた訳ではない、ただ、自分の心の支えにする為だけだった。

 飛夏羽は本当に、優都を諦められたのだろうか?
飛夏羽は自分でも分からないまま翔太の家に入って行った。

 優都が濡れたまま学校の校門の前に来ると、李麻達が走ってきた。

「優都!如何だった!?」

 李麻が目を輝かせて優都を見ている。

 優都は李麻から目を逸らし、首を横に振った。

「…え?ど、如何いう事?」

 李麻はきょとんとして優都を見つめた。

「…別れたのね?」

 保梓の鋭い指摘に、全員が驚いて優都を見た。

「嘘だろ!?」
「嘘じゃないよ…俺から振ったんだ。」

 優都は微笑して唇を震わせながら言った。

「優都君…」
「…これで…良かったんだよ…ごめん。」

 優都は零れ落ちそうになる涙を隠して走って行った。

「優都!」

 追い掛けようとする李麻を保梓が止めた。

「姉ちゃん!?」
「あれが優都君の決断だったのよ。…もしかしたら…あれしか…出来ない状態
だったのかもしれない…」
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