僕の街には今日も雨(涙)が降る…。
 優都が走って行った後、空を見上げると空は不気味な程真っ青に晴れてい
た。
優都と飛夏羽がお互いに吹っ切れた様に、空も雨を落とすのを止めたのだろう
か。
だが、優都と飛夏羽の心にはまだ大粒の雨が降っているような気がした。
何故幼馴染だけでも続けなかったのだろう、友達だけでも続けていれば、後々
後悔しなくても済んだかもしれないのに。

 優都は目を赤くしたまま教室に入り、ゴミ箱の前に立った。
ポケットから飛夏羽のネックレスを取り出し、震える手を押さえながら目を
瞑って飛夏羽のネックレスを捨てた。
そして、自分の首からも飛夏羽と同様のネックレスを外し、ゴミ箱の中に放り
込んだ。

「…これで…良いんだよね?…飛夏羽…」

ゴミ箱の中には、二つのネックレスが絡み合うようにして入っていた。

 そのネックレスに優都の涙が零れ落ち、優都はネックレスから目を逸らすと
鞄を持ち、そのまま教室を出た。
< 51 / 73 >

この作品をシェア

pagetop