僕の街には今日も雨（涙）が降る…。
　この男性は翔太の父親の榊　真吾だった。

　真吾は口に銜えている煙草を手に持ち、口から白い煙を吐き出した。

「君のお母さんは私の命令に従っていたからお父さんを助けられなかったんだ
よ。お母さんを責めないでやってくれ。」
「…じゃあ…二人が…お父さんを殺したの？如何して…如何してよ！お父さんに
は何の罪も無かった！なのに…何でお父さんを巻き込むのよぉ！」

　飛夏羽は涙を零しながら二人に飛び掛ろうとした。

　翔太は飛夏羽を押さえ、飛夏羽を止めた。

「飛夏羽止めろ！落ち着けよ！」
「嫌！翔太放して！」

　ドアから４人の男が入って来て、飛夏羽を取り押さえてそのまま他の部屋に連
れて行こうとした。

「…許さないから…あなたの事…絶対に許さない！一生…」

　飛夏羽はそのまま取り押さえられるようにして他の部屋へと連れて行かれた。
翔太は飛夏羽を追い掛ける様にして部屋を出た。

　飛夏羽と翔太が出て行った瞬間、歩は煙草を出し飛夏羽が居た時とは違う、余
裕の表情をしていた。

「ふっ、あの子も馬鹿ね。私が素直に謝るとでも思っているのかしら？」
「まぁそう怒るな。あの子には…利用価値がある…」
「えぇ。」

　二人は不気味に笑い出した。

　そう、今のは一寸した演技だ。
飛夏羽に怒りを覚えさせ、それをこれからの利用に変えていく為の演技だった。

　歩と真吾はお互いに麻薬の取引をし、合併した裏組織の会社だった。

　歩は大会社の社長で、それを狙って真吾は取引をしたと言う。
二人の跡継ぎとして、翔太と飛夏羽は結婚させられるのだ。
飛夏羽の優しすぎる性格を変える為の演技、これは一体何の意味があったのだろ
うか？

　翔太も元は優しい性格をしていた。だが、ある物が原因で、翔太の性格は変
わっていってしまったのだった。
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表紙・目次

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